テンリー小説・憎めないドジ
「テンテン、今日の任務は一体どうした。単独で動くと、大事は免れないのだぞ!」
「御免なさい、ガイ先生。以後気を付けます。」
木の葉里の一角で、厳しい怒声と沈んだ声がした。怒鳴られているのはテンテン、怒鳴っ
ているのはガイだった。少し前に彼らが行った任務でテンテンがしてしまったミスは、ネ
ジとガイの咄嗟の行動が無かったら、任務全体の失敗に成っていたほどの物だった。
「忍者にとって、たとえ少しでも気が緩むのは許されない。肝に銘じて置け。」
「はい・・。本当に申し訳ございませんでした。」
「まあ良い、今日の所はこれで帰りなさい。あと、いつまでも落ち込まない事。」
そう言い残して、ガイは帰っていった。テンテンは肩を落として班の修行場に向かった。
「あ、テンテン!」
「ん・・リーか・・。」
テンテンは暗過ぎる位の顔でリーを見た。
「ハァ・・御免ね、リー。貴方にまで迷惑かけちゃって。」
「何言ってるんですか!テンテンらしく有りませんよ!失敗なんて誰にでも有る事じゃな
いですか。僕だってしょっちゅうですし。落ち込まないで下さい。落ち込む暇があったら、
二度と失敗しない為の努力をしましょうよ。」
「そうね。貴方の言うとおり。」
テンテンは笑って見せた。いつもリーは笑顔をくれた。辛い時も、悲しい時も、辛さや悲
しさがそれじゃ無くなって、不思議と笑える様になった。そんな所に、テンテンは感謝し
ていた。いつもは前向きだが、一度落ち込むと中々立ち直れない彼女にとって、リーは大
切な存在だった。
それが理由かは定かでないが、近頃テンテンはリーに恋心を抱く様に成って来た。リーに
会えるだけで幸せを感じ、話すだけで救われた。又、リーが悲しそうな時は絶対に放って
置かず、笑顔が蘇るまで傍に居たいと望み、実際にそうしていた。一緒に任務が出来て、
修行できる事に喜びを感じ、目が合えば心が通じ合っている様な感覚に成った。リーしか
見えない、リーしか想えない。リー以外に誰を見ろと言うのか。リー以外に誰を想えと言
うのか。そんな事出来る方がおかしい。更に、リーは自分の事をどう想い、どう見ている
のかが随分気になり、自分の姿を眺めては、美人じゃないと溜息を付く様になった。心が
絶えず揺れ動いて、1つの場所に納まらないのが、恋をしたという事なのか。愛情がどん
どん膨れ上がり、1人の人だけに向けられるのが、好きに成るという事なのか。それは任
務の失敗の解決法より、理解しにくい感じがした。
「リー。貴方はまだサクラさんが好きなの?」
「え?あの・・単刀直入に言われるときついですけど、もう終わりました。」
「そうなの?」
「他に好きな人が出来たんです。それに、サクラさんがサスケ君と居て、幸せそうにして
いるのを見守るのも、良い青春だな、と思いますし。」
他に好きな人。それって誰だろう。私かな。そうだと良いな。ひそかに期待の花が咲いた。
「誰なの、貴方の新しい彼女は。」
「まだ片想いですけど・・。」
「貴方らしいわ。」
「・・でも、いつも僕の傍に居ますよ。」
「え、何だって?」
「何でもありません。さ、修行しましょう!汗を流すのは良いですよ〜!」
赤くなった頬を、修行のほてりとごまかして、リーは愛しい人に笑顔を分けた。
「今日も本当に大変な日だったわね。経験値200って所かな。」
「失敗は成功の基!君の経験値はもっとありますよ!」
テンテンとリーは仲良く笑った。
「明日も任務ですからね。忘れないで下さいよ。」
「分かってるわよ。日の出前に門前集合でしょ?」
「明日はドジ無しですよ。」
「ドジとは言わないでしょ。失敗よ。」
「テンテンの失敗はドジですよ。頑張ろうと躍起になるから起こってしまう。憎めないで
すね。」
「そう?嬉しいような、悲しいような、微妙な所ね。褒めてるの?」
「褒めてますとも!ドジで終わるなんて良いじゃないですか。」
「有難う。でもね、私から見ればリーもドジの内よ。馬鹿みたいに突っ走って、木の根っ
こに引っ掛る様な感じかな。」
「木の根っこですか・・。ではドサクサに紛れてテンテンの足に引っ掛らない様にします
ね。」
「ちょっと・・。それってどういう事?」
「良い意味では有りませんね。」
「言ったわね、リー!こら、逃げる気?待ちなさいよ〜!」
「ウワ、殺生な!好きだから言えるんですよ!」
「・・えぇっ?」
「あ、き、聞かなかった事にっ!」
テンテンは事が飲み込めずにポカンとしていた。好きだから、言える。嫌いなら、あんな
事真顔で言えた物じゃない。
『いつも、僕の傍に居ますよ。』
「リー・・。」
テンテンは走っていくリーの背中を見て、思い切り笑った。
「もう、ドジなんだから〜!」

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初めて書いたテンリー小説です。他にも書いたことが有るのは有るのですが、
2人だけの物を書くのは初めてです。最後が微妙、と思っているのですが、
こんな物で良かったら同盟の方に置いて下さると嬉しく思います。



管理人コメント
美可流様より頂いた、素敵テンリー小説です!!
いい!!すごくいいですよ!!
本当に好きだから、何でも言えるんですね。素敵です!!
この、爽やかで明るく青春なところ!!ここが、テンリーの大きな魅力の一つなんですよね!!
素敵な小説をご投稿有り難うございました!!
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